実家って

 幼い頃から飲んでいたお茶。

東京に来て30数年、美味しいお茶を味わったことがなかった。

お茶は産まれ乍らの環境が有った訳で一般的にスーパー等や茶店で販売するお茶は色々

混合されているもので新茶と言っても味が違って美味しくない。

選んで選んで購入しても値ばかり高くて本当の味がしない。

 

先日、久しぶりに実家に帰った、実家も既に長男は亡くなり甥が戸主として賄っている

家族となった、40数年ぶりの実家帰りだった。

色々昔話から甥の最近の経営を聞かされ時代も変わったことを実感した。

帰り際に甥から直販している新茶を一つ貰った、昔は出来上がったお茶は全て業者に卸し販売されていたのだが甥は全て直販しているらしかった。

農家でお茶摘みから製茶迄を一貫して作り上げたお茶は古茶や他のお茶を混合する事もなく新茶そのもので味は幼い頃から飲んだお茶が味わえる!。

 

家に帰って早速飲んでみた。

懐かしい実家の味がして涙が出るほどに懐かしく感慨深った・・・・。

これが本当の新茶でありお茶の味だと!。

お茶の色も緑で黄色や茶色ではない、緑の色が目に染みる。

8~9歳ころからお茶摘みなどを手伝ったもので母親と一緒に摘むお茶は楽しかった。

家では父親が蒸してお茶揉みして針の様な黒色に近い濃い緑のお茶が出来上がる。

このお茶を当たり前の様に毎日の食事の際には飲んでいた。

今、何十年ぶりに目の前にある甥の作ったお茶がその時の味を思い出させてくれている

事が嬉しいかぎり・・・。

 

実家の甥が直売していることが分かり今後は生まれ育った頃からの本当の味が堪能できる事が嬉しい。

実家の墓参りは時々していたが既に甥しか知り得る人もいない実家で甥の子供や孫を見て後継者が実家を守り抜いている光景を見て嬉しく思った。

300数十年の歴史を持ち17代目が現在3歳、長く栄えて欲しい。

初代は元禄時代らしいが明治から始めたお茶と大正から始めた蜜柑、他にも事業を起こしているらしい、35歳になる息子と新たな農業を営んでいる様子が眩しかった。

家屋は60数年前に新築した家だが最近増築して屋内も甥の趣味を生かしたのか昔の儘を生かした改築で懐かしい部分と新たな部分とが重なり合った住居になっていた。

 

気も心も落ち着いて幼い頃がよみがえった、実家ってやっぱり素晴らしい・・・な!